用語集
バイオシミラーに関する用語について解説します。
か行
経済毒性(Financial Toxicity)
がん治療に伴う経済的な負担がライフスタイルに影響を及ぼすこと。
経済毒性の構成要素は、(1)支出の増加、(2)収入・資産の減少、(3)不安感の3つがあります。
(出典:2018年『癌と化学療法45巻5号「がん治療に伴う"経済毒性" の評価」』愛知県がんセンター、本多和典医師)
高額療養費制度
高額療養費とは、1カ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた部分があとで払い戻される制度。
なお、上限額は、年齢や所得状況などによって異なる。
(出典:厚生労働省ホームページ[外部リンク]より改変)
高次構造
生体高分子の分子構造の概念。タンパク質においては、一次構造に対する二次、三次、四次構造のことを指す。
タンパク質のアミノ酸配列(一次構造)は、水素結合、ジスルフィド結合などによって、らせん状になったり、折りたたまれたりして、立体構造をつくる。これを二次構造という。
二次構造の相対的な配置を含め、タンパク質分子全体の安定な立体構造を三次構造といい、さらにタンパク質が複数のポリペプチド鎖から構成される場合は、その相互関係を四次構造という。
抗体医薬(抗体医薬品)
疾患関連分子に特異的に結合する抗体を遺伝子組換え技術等を応用して作製し、医薬品としたもの。1975年にハイブリドーマを用いたマウスモノクローナル抗体作製技術が確立され、疾患関連分子に対して特異的な結合能を持つ抗体を人工的に作製することが可能となった。続いて、マウスモノクローナル抗体の臨床応用に際して問題となった免疫原性を低減し、血中濃度の維持をも可能にする技術(キメラ型抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体の作製技術)が開発され、現在多くの抗体医薬品が臨床応用されている。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
抗体薬物複合体
抗体と低分子化合物を結合(複合体化)したもの、あるいはその医薬品のこと。抗体のもつ高い標的認識能力により、効力の高い低分子化合物を目的部位に送達できるため、有効性と安全性に優れた医薬品として期待されている。主にがん細胞に発現している標的因子に対して特異的に結合する抗体医薬(高分子医薬)と細胞障害活性を有する物質(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合(複合体化)させたもの、あるいはその医薬品のこと。
効能/効果の外挿
先行バイオ医薬品が複数の効能・効果を有している場合、ある効能・効果においてバイオシミラーと先行バイオ医薬品との有効性が同等であり、安全性プロファイルについても差異がないと判断された際には、他の効能・効果においても薬理学的に先行バイオ医薬品と同様の作用が期待でき、安全性プロファイルにも悪影響がないことが説明できるのであれば、先行バイオ医薬品が承認を取得している他の効能・効果をバイオ後続品に付与することが可能となる。これを効能・効果の外挿という。それぞれの効能・効果で作用機序が異なっている場合等には、他の効能・効果を付与することは適切でなく、別途臨床試験が必要とされることもある。なお、臨床試験を実施していない効能・効果の付与が可能となるのは、先行バイオ医薬品のもつ効能・効果に限られ、先行バイオ医薬品以外の同種・同効の他の既承認バイオ医薬品の効能・効果は含まれない。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
抗薬物抗体
体内に投与されたバイオ医薬品が抗原として作用し、そのバイオ医薬品を標的とし誘導される抗体のこと。
抗薬物抗体の中には、バイオ医薬品に対して中和活性を示し、生物活性に影響を与えるものもある。
さ行
在宅自己注射指導管理料
自己注射に関する指導管理を評価するため、インスリン製剤など厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射をおこなう患者に対して指導管理をおこなった場合に算定できる管理料のこと。
宿主細胞
バイオ医薬品を産生させるために用いる細胞のこと。大腸菌、酵母、哺乳動物細胞など。
小児慢性疾患医療費助成制度
小児慢性特定疾病にかかっている児童等(18歳未満)について、健全育成の観点から、患児家庭の医療費の負担軽減 を図るため、その医療費の自己負担分の一部を助成する制度です。
(出典:厚生労働省ホームページ[外部リンク]より)
生物学的性質(生物活性)
生物の特定の生理機能に対して影響を与える能力のこと。たとえば抗体医薬品の生物活性は、i)抗原の作用や抗原を介した生体内反応を抑制又は促進するもの、ii)抗原結合能に加えて ADCC 活性や CDC 活性を持つもの、iii)薬理作用を持つ化合物を結合させた抗体のように、抗原を発現している細胞に取り込まれ、細胞内で解離した化合物が作用するもの等がある。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
先行バイオ医薬品
国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品のこと。バイオシミラーの開発において、同等性/同質性を確認するための参照となる。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
た行
単純タンパク質・複合タンパク質
単純タンパク質:アミノ酸のみから成るタンパク質。
複合タンパク質:糖鎖と結合した糖タンパク質など、アミノ酸以外の他の分子が結合したタンパク質の総称。
中和活性
標的分子を中和する活性。抗体が標的分子に結合することにより、その作用を阻害する。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
中和抗体
バイオ医薬品投与後の患者において産生された抗薬物抗体のうち、生物活性に対する中和能を有する抗体のこと。
糖鎖
糖類の最小単位である単糖がグリコシド結合により鎖状に連なった化合物。生体内のタンパク質や脂質と結合し、糖タンパク質や糖脂質を形成する。これら糖タンパク質や糖脂質は、生体内で重要な生理作用を担っている。バイオ医薬品の多くは糖タンパク質であり、糖鎖の修飾が生物活性に影響を与える可能性があるため、糖鎖構造の詳細や主な糖鎖の不均一性等について明らかにしておく必要がある。
同等性/同質性
先行バイオ医薬品とバイオシミラーの品質特性の類似性が高く、品質特性に何らかの差異が見出されたとしても、製造販売する製品の臨床的有効性・安全性に影響を及ぼすものではないことが、非臨床試験及び臨床試験等の結果に基づいて科学的に判断できることを意味する。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
な行
難病医療費助成制度
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病について、治療方法の確立等に資するため、難病患者データの収集を効率的に行い治療研究を推進することに加え、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する制度です。
(出典:厚生労働省ホームページ[外部リンク]より)
は行
バイオ医薬品
バイオテクノロジー応用医薬品。
遺伝子組み換え技術や細胞培養技術などのバイオテクノロジーを用いて製造された、タンパク質を有効成分とする医薬品のこと。化学合成によって製造される低分子医薬品と比べ、分子量が大きく、複雑な構造を持つ。
バイオ後続品使用体制加算
バイオ後続品を直近1年に目標の数量を使用した場合、バイオ後続品、またはバイオ後続品のあるバイオ医薬品を使用した入院患者に、入院初日に100点算定できる制度。
バイオ後続品導入初期加算
バイオ後続品を入院以外で処方した場合に、当該バイオ後続品の初回の処方日に属する月から起算して3月を限度として、150点(月1回)を加算できる制度。
バイオ後続品に関する指針
正式名称は「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」。厚生労働省から発出されており、バイオ後続品の開発を行う際に配慮すべき要件を示すとともに、承認申請に必要なデータを明確にしたバイオ後続品に関するガイドライン。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラー
バイオ後続品の通称であり、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発される医薬品である。品質、安全性及び有効性について、先行バイオ医薬品との比較から得られた同等性/同質性を示すデータ等に基づき開発できる。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの一般的名称・販売名
一般的名称:先行バイオ医薬品の一般的名称(遺伝子組換えに係る記載は除く。)の末尾に「後続1(2、3、…)」を角括弧書きで記載する。
販売名:先行バイオ医薬品の一般的名称(「遺伝子組換え」は省略)の末尾に、バイオシミラーであることを示すために「BS」と記載し、剤形、含量、会社名(屋号等)を記載する。
<例>
一般的名称 : ○○○○○○(遺伝子組換え)[××××××後続1]
販 売 名 : ×××××× BS 注射液 含量 会社名
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの開発
先行バイオ医薬品の製法に関する情報を入手することは通常困難であるため、バイオシミラーの開発では、新有効成分を含有するバイオ医薬品を開発するときと同様に、関連する ICHQ5、Q6B、Q7、Q8~11 ガイドライン等を参考に、独自に恒常性と頑健性が担保された製法を開発・確立する必要がある。よって、このような製法上の違いがあることを十分に考慮した上で、先行バイオ医薬品とバイオシミラーとの同等性/同質性を明らかにしていくことが求められる。また、バイオシミラーの開発は、先行バイオ医薬品の承認からかなりの期間を経た後に行われることから、バイオシミラーの製法開発にあたっては、その時点における最新の知見に基づいた安全性確保のための対策等が適用可能な場合には、有効性に影響しない範囲において、それを積極的に採用することが推奨される。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの承認申請
薬事申請上、バイオシミラーは、新薬ともジェネリック医薬品(後発品)とも異なる新しい区分として分類されている。ジェネリック医薬品と違い、バイオシミラーは先行バイオ医薬品との同一性を示すことが困難であるため、品質、安全性、有効性に関して、先行バイオ医薬品との同等性/同質性を検証することが求められる。したがって、バイオシミラーの承認申請においては、臨床試験成績も含め、新薬に準ずる申請資料の提出が必要となる。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの対象
対象となるもの
1. 目的有効成分を明確に規定することができ、高度に精製され、十分な品質特性解析が可能な組換えタンパク質、ポリペプチド、それらの誘導体並びにそれらを構成成分とする医薬品。
2. 遺伝子組換えワクチンやポリエチレングリコール結合組換えタンパク質等。
3. 細胞培養技術により生産されるタンパク質医薬品や、組織及び体液から精製される生体由来タンパク質。
対象とならないもの
1. 従来型ワクチンや、ヘパリンなどの多糖類
2. 国内において審査経験/使用実績のない製品。
3. バイオ後続品に対するバイオ後続品(将来的な可能性としてはあり得る)
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの薬価
バイオシミラーの薬価は先行バイオ医薬品の0.7倍を基本とし、(バイオ後続品に係る特例として)患者を対象に実施した臨床試験の充実度に応じて、10%を上限として加算される。バイオ医薬品は高価であり、医療費負担の大きさがクローズアップされている中、先行バイオ医薬品より安価なバイオシミラーによって負担軽減が図られることが期待されている。
(出典:厚生労働省ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの製造販売後におけるリスク管理
バイオシミラーは、バイオ医薬品であるため、免疫原性等、後発医薬品と異なる要素があり、製造販売後には、バイオシミラーの特性を考慮した適切なリスク管理及び情報提供が求められる。そのため、開発段階において先行バイオ医薬品との同等性/同質性評価で十分に評価できなかった事項を考慮し、製造販売後に収集すべき情報の有無とその内容を明確にすると共に、適切な医薬品リスク管理計画を立案する必要がある。承認申請に際しては医薬品安全性監視活動(情報収集活動)等の計画の全体をとりまとめた医薬品リスク管理計画書(案)を提出することが求められ、詳細については承認審査の過程で規制当局と議論することになる。また、承認後、医薬品安全性監視活動の経過及び結果については、事前に医薬品リスク管理計画書で定めた時期に規制当局に報告する必要がある。また、結果の適切な公開の方法について、検討しておくことが望ましい。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオシミラーの薬理試験
薬理試験として、先行バイオ医薬品とバイオシミラーの薬理作用を直接比較する。臨床効果と密接に関連する in vitro での生物活性(細胞を用いた試験や受容体結合活性等)の比較が必要であり、品質の比較試験として作用機序を考慮した生物活性の比較がなされている場合には、これを非臨床薬理試験として準用できる場合もある。in vitro の比較試験で十分な評価が可能な場合には、必ずしも in vivo での薬力学的効果に関する比較試験が求められるわけではないが、ある種の糖タンパク質のように in vitro の活性が臨床効果と相関しない場合には、in vivo 薬理試験による比較を行う。適切な in vitro 評価系がない場合は、in vivo での評価が必要である。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
バイオテクノロジー応用医薬品
細菌、酵母、昆虫、植物及び哺乳動物細胞を含む種々の発現系を用いて特性解析がなされた細胞に由来する医薬品。これらのバイオ医薬品は、in vivoの診断、治療又は予防に使用されることが目的とされうる。有効成分としてタンパク質及びペプチド、それらの誘導体及びこれらを構成成分とする製品が含まれる。これらは、培養細胞から抽出されるか、トランスジェニック植物やトランスジェニック動物による産生を含む組換えDNA 技術を応用して製造される。例えば、サイトカイン、プラスミノーゲンアクチベーター、組換え血漿因子、増殖因子、融合タンパク質、酵素、受容体、ホルモン及びモノクローナル抗体等があるが、これらに限るものではない。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体
マウス抗体の臨床応用に際して問題となっていた免疫原性等を改善するため、遺伝子組換え技術によりヒトの抗体に近くなるように構築された抗体(医薬品)の分類。ヒト型>ヒト化>キメラ型の順にマウス遺伝子由来の割合が少なく、ヒト型抗体は完全ヒト遺伝子由来である。
キメラ型抗体:可変部はマウス遺伝子由来、定常部はヒト遺伝子由来の抗体
ヒト化抗体:超可変部(抗原と直接結合する部分)のみがマウス由来遺伝子、残りをヒト由来遺伝子とした抗体
ヒト型抗体:ヒトの抗体を産生するトランスジェニックマウスなどを用いて生物学的につくられた、100%ヒト遺伝子由来の抗体。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
標準品
国際標準品及び国内標準品を指す。例えばNational Institute for Biological Standards and Control (NIBSC) から配布されている国際標準品、あるいは日本公定書協会から配布されている日本薬局方標準品が該当する。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
非劣性
被験薬への反応が比較薬剤(実薬又はプラセボ)よりも臨床的に劣らないこと。被験治療と対照治療との差の信頼区間(片側)が、既存のデータ、妥当な臨床的・統計学的考察に基づき、設定した被験治療の非劣性の限界値を含まない場合には、被験治療は対照治療に対して非劣性であるとされる。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
品質特性
製品の品質を現すのに相応しいものとして選択された分子特性又は製品特性であり、当該製品の同一性、純度、力価、安定性及び外来性感染性物質の安全性などを併せて規定されるもの。規格及び試験方法で評価されるのは、品質特性から部分的に選択された一連の項目である。品質特性には、目的とする有効成分の力価や生物活性、物理的化学的性質等のみならず、目的物質関連物質、目的物質由来不純物、製造工程由来不純物の種類や存在量も含まれる。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
不均一性
バイオ医薬品の有効成分(タンパク質)の持つ分子多様性のこと。バイオ医薬品は、生体の生合成過程を利用し製造しているため、分子構造上不均一なものが産生される可能性が存在する(構造変化による不均一性、糖鎖修飾等による不均一性等)。この不均一性が、医薬品としての有効性や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、その評価は重要となる。
不純物プロファイル
一般には、原薬または製剤中に存在する構造既知又は未知の不純物の全体像をいう。
バイオ後続品の不純物とは、原薬又は製剤中に存在する目的物質、目的物質関連物質及び添加剤以外の成分。製造工程由来のものもあれば目的物質由来のものもある。
(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ[外部リンク]より改変)
翻訳後修飾
タンパク質合成の過程において、リボゾーム上でmRNAが翻訳(=タンパク合成)された後に起こる化学的修飾のこと。リン酸化、糖鎖付加(グリコシル化)、部分的切断(プロセシング)、N末端(アミノ基)のアセチル化、C末端(カルボキシル基)のアミド化などがある。生体内におけるタンパク質の機能発現や活性調節に深く関連していると考えられている。
ま行
免疫反応性・免疫原性
一般的に、抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質を免疫原性と呼ぶ。バイオ医薬品は、投与された患者において抗原として認識され、抗体(抗薬物抗体)の産生が誘導される場合がある。免疫原性に影響を与える因子には、製造工程由来不純物のみならず、翻訳後修飾や目的物質由来不純物等が含まれる。また、不純物によっては免疫原性を増加させる( アジュバント効果) ばかりでなく、むしろ抑制する場合も知られている。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
モノクローナル抗体
単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体。単一の抗原決定基(エピトープ)を認識するために特異性が高く、現在承認されている抗体医薬品の多くはモノクローナル抗体である。
ら行
臨床薬物動態(PK)及び薬力学(PD)試験
PK試験:血液中の薬物濃度を指標とし、生体内での薬物の処理(吸収、分布、代謝及び排泄)を明らかにするための試験
PD試験:薬理効果を指標とし、作用部位における薬物の薬物濃度と効果との関連を調べるための試験
バイオシミラーの開発においては、PK試験又はPD試験でバイオシミラーと先行バイオ医薬品との同等性/同質性を評価する必要がある。
A-Z行
ADCC活性
抗体依存性細胞傷害(antibody dependent cellular cytotoxicity)活性。標的細胞に存在する標的分子に結合した抗体がマクロファージ等の免疫細胞(エフェクター細胞)とFcγ受容体を介して結合し、エフェクター細胞を活性化させて標的細胞を傷害する活性のこと。抗腫瘍効果を持つ抗体では、ADCC活性が薬効発現に関与している場合がある。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
CDC活性
補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity)活性。標的細胞に存在する標的分子に結合した抗体が補体と結合することにより補体系が活性化され、標的細胞の表面で一連の反応を起こし、その細胞を傷害する活性のこと。
(出典:国立医薬品食品衛生研究所ホームページ[外部リンク]より改変)
Infusion reaction
抗体医薬品などのバイオ医薬品を投与した際に認められる特有の過敏症反応の総称。
主に投与中~投与終了24時間以内に発現し、作用機序は一般的なアレルギー反応とは異なる。