バイオシミラーについて

「バイオ医薬品」と「バイオシミラー」


バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術を応用し、動物または微生物が持つタンパク質(ホルモン、酵素、抗体等)を作る力を利用して製造される医薬品です。1980年代より開発が進められており、癌や血液疾患、自己免疫疾患等多くの難治性疾患に卓抜した治療効果を得られることが確認されています。
 一方、バイオシミラー(日本ではバイオ後続品)は、バイオ医薬品の本質であるアミノ酸配列は先行品と同一ですが、細胞株や培養工程は製造業者により異なることから、糖鎖や不純物の割合など先行品と完全には一致しないものの、厳格な品質試験、薬理試験、毒性試験及び臨床試験によって医薬品としての同等性/同質性(comparabilityの和訳:「品質の類似性が高く、品質に何らかの差異があっても安全性・有効性に影響を及ぼさないこと」)が検証されています。シミラー(similar)は「似ている(同じではない)」と訳されますが、欧米では「almost the same(ほとんど同じ)」という意味で使われており、同じ種類・性質であることを意味します。
 先行バイオ医薬品と変わらない治療の選択肢を提供することにより、有用な治療法への医療アクセスを改善し、治療の質の向上と患者の経済的負担の軽減や医療費の削減に貢献することが期待されます。

図1

バイオシミラーの医薬品としての評価方法


バイオ医薬品は、化学合成品に比べて分子サイズが極めて大きく、構造が複雑で多様です。バイオシミラーでは、培養に用いる細胞や製造方法が先行バイオ医薬品と同一ではなく、糖鎖の組成の割合も完全には一致しないことから、化学合成品の後発医薬品とは医薬品の評価として求められる試験が大きく異なります。
 先行バイオ医薬品でも、製造方法の変更が実施されることがあります。その際には、製造方法の変更が有効性、安全性に影響しないことを日米欧共通のガイドラインに従って評価を行います。バイオシミラーの開発においても同様の考え方によって評価を行います。

 先行バイオ医薬品との比較において、最新の知見に基づき化学構造や不純物など物理的化学的な面、活性などの生物学的な面、さらに免疫学的な面など品質特性に関して多種多様に詳細な分析が行われます。これらの品質特性の解析結果に基づき、さらに非臨床試験、臨床試験を実施して、先行バイオ医薬品に比べて、臨床的に変わらないことを証明します。

図2

バイオ医薬品を含む新薬の開発では、臨床試験によって治療上の利益を証明又は確認しますが、バイオシミラーの開発では、物理的化学的特性や生物学的特性などの品質特性解析によって先行バイオ医薬品との同等性/同質性を検証し、臨床試験は臨床的にも差異が無いことを確認するために行われます。 このため、先行バイオ医薬品が複数の効能・効果を有する場合、1つの臨床試験で先行バイオ医薬品とバイオシミラーとの同等性/同質性が確認され、薬理学的に同様の作用が期待できることが説明できれば、他の疾患への適応が認められます。
 これは、バイオ後続品は品質特性解析によって先行バイオ医薬品との同等性/同質性が検証されており、また、臨床的な差異を示さないことが確認されているため、薬理学的に同様の作用によって効果の認められる疾患に対しては、新たに品質試験、薬理試験、毒性試験及び臨床試験を実施しなくても、同様の効果が期待されるからです。

図3

バイオシミラーとは


このように開発され、承認されたバイオシミラーは、先行バイオ医薬品と品質がほとんど同じで、同じ効果と安全性が確認された薬剤です。臨床試験を含む多くのデータによって、先行バイオ医薬品と同じように使えることが示されています。