Q & A集(医療関係者向け)
バイオシミラー(バイオ後続品)に対し、医療関係者の方々が抱く様々な疑問とその回答を掲載しております。
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Q1バイオシミラー(バイオ後続品)の製造・品質管理は十分に行われているのか?
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Q2バイオシミラー(バイオ後続品)は同一の総称名であっても、製薬会社によって品質にバラつきがあるのでは?
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Q3先行バイオ医薬品との有効性の同等性はどのように検証されているのか?
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Q4すべての適応症に対して臨床試験は実施するのか?
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Q5有効性の同等性試験を実施していない疾患において、先行バイオ医薬品の有効性とバイオシミラーの有効性が同等と言えるのはなぜか?
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Q6バイオシミラー(バイオ後続品)の中には先行バイオ医薬品の効能・効果の一部を欠くものがあるのはなぜか?
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Q7バイオシミラー(バイオ後続品)の副作用情報収集や適正使用のための情報提供に関して、先行バイオ医薬品と異なることはあるのか?
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Q8バイオシミラー(バイオ後続品)の薬価はどのように決められるのか?
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Q9国内で承認されているバイオシミラー(バイオ後続品)は?
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Q10バイオシミラー(バイオ後続品)は供給体制に不安があるのでは?
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Q11バイオシミラー(バイオ後続品)の品質を担保するために、公的機関ではどのような活動が行われているのか?
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Q12バイオシミラー(バイオ後続品)の一般名や製品名はどのように付けられているのか?
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Q13先行バイオ医薬品からバイオシミラー(バイオ後続品)への切り替えは可能か?
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Q14バイオ後続品導入初期加算とは?
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Q15バイオ後続品使用体制加算とは?
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Q16バイオ後続品は国の定めた目標値はあるのか?
Q1
バイオシミラー(バイオ後続品)の製造・品質管理は十分に行われているのか?
A1
先行バイオ医薬品、バイオシミラー(バイオ後続品)問わず、すべての医薬品の製造は、GMP(「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」)に適合した工場でのみ許可されており、厳格な製造及び品質管理がなされています。
Q2
バイオシミラー(バイオ後続品)は同一の総称名であっても、製薬会社によって品質にバラつきがあるのでは?
A2
すべてのバイオシミラー(バイオ後続品)は厚生労働省が定めた基準に従って、先行バイオ医薬品との様々な比較試験により品質が同等/同質であることが確認されています。品質にわずかな違いがあったとしても、臨床的な有効性・安全性に差異を生じないことを確認して承認されており、許容される品質の幅はPMDAにより厳密に審査されます。
Q3
先行バイオ医薬品との有効性の同等性はどのように検証されているのか?
A3
有効性の同等性を検証するためには、対象集団やエンドポイント(評価項目)などの試験デザインを踏まえ、事前に規制当局と合意の上で、同等性の許容域や評価方法を設定します。同等性を評価するための方法としては、先行バイオ医薬品との有効性の差または比が用いられ、これらの信頼区間が事前に設定した同等性の許容域に収まった場合に同等であると判断されます。
Q4
すべての適応症に対して臨床試験は実施するのか?
A4
先行バイオ医薬品が複数の適応症を持つ場合であっても、すべての適応症に対して臨床試験を実施するわけではありません。バイオシミラー(バイオ後続品)の開発においては臨床試験を実施していない効能・効果の付与が認められる場合があります。先行バイオ医薬品の薬理作用が、バイオシミラーの開発で臨床試験を実施した効能・効果と実施していない効能・効果で同じと考えられる場合、バイオシミラーは薬理学的に先行バイオ医薬品と同様の作用が期待でき、安全性プロファイルにも問題がないことが説明できるのであれば、効能・効果をバイオシミラーに付与することが可能です。一方、それぞれの効能・効果で作用機序が異なっている場合、またはその作用機序が明確になっていない場合には、他の効能・効果を付与することはできず、別途臨床試験が必要となります。
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
Q5
有効性の同等性試験を実施していない疾患において、先行バイオ医薬品の有効性とバイオシミラーの有効性が同等と言えるのはなぜか?
A5
バイオシミラー(バイオ後続品)は、先行バイオ医薬品と同等/同質であることを、物理的化学的及び生物学的な分析、物質の構造分析など、複数の品質分析を通して確認を行います。さらに、臨床試験ではバイオ後続品と先行バイオ医薬品の有効性に差異があった場合にその差異が検出されやすい集団(疾患)を対象として実施することが望ましいとされています。新医薬品の開発では、それぞれの疾患での有用性を検証するための臨床試験が必要とされますが、バイオシミラーの臨床試験では、先行バイオ医薬品と有効性・安全性に差異がないことを確認することが目的となるため、有効性の差異を検出しやすい集団(疾患)で同等性を確認します。バイオシミラーの開発においては臨床試験を実施していない効能・効果の付与が認められるには、先行バイオ医薬品の薬理作用が、バイオシミラーの開発で臨床試験を実施した効能・効果と実施していない効能・効果で同じである必要があり、バイオシミラーが臨床試験を実施していない先行バイオ医薬品の他の効能・効果において薬理学的に同様に作用することを説明できれば、これらの効能・効果においても有効性は同等であると考えることができます。
Q6
バイオシミラー(バイオ後続品)の中には先行バイオ医薬品の効能・効果の一部を欠くものがあるのはなぜか?
A6
バイオシミラー(バイオ後続品)は先行バイオ医薬品の特許が満了かつ再審査期間が終了した後に承認されます。そのため、先行バイオ医薬品の効能・効果、用法・用量の一部の有効な特許が存在するあるいは再審査期間中の場合には、バイオシミラーの初回承認時に先行バイオ医薬品の効能・効果、用法・用量の一部が取得できないことがあります。このようにバイオシミラーと先行バイオ医薬品は効能・効果に違いが見られる場合がありますが、追加の適応症が取得可能となった時点で速やかに承認が得られるように、申請手続きが行われます。
Q7
バイオシミラー(バイオ後続品)の副作用情報収集や適正使用のための情報提供に関して、先行バイオ医薬品と異なることはあるのか?
A7
副作用情報の収集は、すべての医薬品において、適時適切に実施されることが必要です。したがって、先行バイオ医薬品、バイオシミラー(バイオ後続品)の区分に関係なく、GVP(医薬品製造販売後安全管理の基準)制度により、製造販売を行っている企業はMRや文献等より副作用情報の収集を行い、内容を検討の上、必要に応じて当局報告を行っています。また、適正使用のための情報提供も先行バイオ医薬品と同様に行っています。
Q8
バイオシミラー(バイオ後続品)の薬価はどのように決められるのか?
A8
先行バイオ医薬品の薬価から新薬創出加算を引いた額の70%を基本に算定されます。また臨床試験の充実度に応じて10%を上限に上乗せされる場合があります。
参考資料:薬価算定の基準について 保発0215第2号(令和5年2月15日)
参考資料:薬価算定の基準について 保発0215第2号(令和5年2月15日)
Q9
国内で承認されているバイオシミラー(バイオ後続品)は?
A9
日本バイオシミラー協議会のホームページ
https://www.biosimilar.jp/biosimilar_list.htmlでご確認いただくことができます。
https://www.biosimilar.jp/biosimilar_list.htmlでご確認いただくことができます。
Q10
バイオシミラー(バイオ後続品)は供給体制に不安があるのでは?
A10
バイオシミラー(バイオ後続品)の安定供給に関しては各製薬企業のみならず、国、業界をあげて取り組んでいます。
Q11
バイオシミラー(バイオ後続品)の品質を担保するために、公的機関ではどのような活動が行われているのか?
A11
2020年から、バイオシミラー(バイオ後続品)の市場流通品の検査や公表臨床文献等の検討を行い、公的機関である国立医薬品食品衛生研究所がバイオシミラーの品質を検討し、積極的に公開するよう努めています。
Q12
バイオシミラー(バイオ後続品)の一般名や製品名はどのように付けられているのか?
A12
バイオシミラー(バイオ後続品)の名称は「バイオ後続品に係る一般的名称及び販売名の取扱いについて」(2013年2月)に規定されています。バイオシミラーの一般名は、先行バイオ医薬品の一般名の後に、先行バイオ医薬品の一般名のうち「(遺伝子組換え)」を除いたものの末尾に「後続1 (2, 3,…)」を角括弧書きで記載し追加します。製品名は、先行バイオ医薬品の一般名(「遺伝子組換え」は除く)の末尾に「BS」、剤形、含量、会社名(または屋号など)を付けます。
参考資料:医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について 薬食審査発第0922001号(平成17年9月22日)
バイオ後続品に係る一般的名称及び販売名の取扱いについて 薬食審査発0214第1号(平成25年2月14日)
参考資料:医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について 薬食審査発第0922001号(平成17年9月22日)
バイオ後続品に係る一般的名称及び販売名の取扱いについて 薬食審査発0214第1号(平成25年2月14日)
Q13
先行バイオ医薬品からバイオシミラー(バイオ後続品)への切り替えは可能か?
A13
処方医の判断により切り替え可能となっています。切り替えに際しては、処方医がバイオシミラー(バイオ後続品)を十分に理解し、また患者さんが処方医から十分に説明を受けて納得した上で切り替えることが望ましいと考えられます。
Q14
バイオ後続品導入初期加算とは?
A14
令和2年度診療報酬改定で「在宅自己注射指導管理料」に「バイオ後続品導入初期加算」が導入され、バイオ後続品を処方した場合には、当該バイオ後続品の初回の処方日に属する月から起算して3月を限度として、150点(月1回)を所定点数に加算できるようになりました。厚生労働省は「在宅自己注射指導管理料」の対象となる注射薬のうち、本加算が適応されるバイオ後続品として、▽インスリン製剤▽ヒト成長ホルモン剤▽エタネルセプト製剤▽テリパラチド製剤▽アダリムマブ製剤を挙げています。
令和4年度診療報酬改定で「在宅自己注射指導管理料」の他に「外来腫瘍化学療法診療料」と「外来化学療法加算」にも導入されました。「外来腫瘍化学療法診療料」の対象となる注射薬のうち、本加算が適応されるバイオ後続品として▽リツキシマブ製剤▽トラスツズマブ製剤▽ベバシズマブ製剤が、「外来化学療法加算」の対象となる注射薬のうち、本加算が適応されるバイオ後続品としては▽インフリキシマブ製剤を挙げています。
令和6年度診療報酬改定で入院以外のバイオ後続品が全て対象となりました。新たに対象となった製剤としてアガルシターゼベータ製剤、ラニビズマブ製剤があります。
令和4年度診療報酬改定で「在宅自己注射指導管理料」の他に「外来腫瘍化学療法診療料」と「外来化学療法加算」にも導入されました。「外来腫瘍化学療法診療料」の対象となる注射薬のうち、本加算が適応されるバイオ後続品として▽リツキシマブ製剤▽トラスツズマブ製剤▽ベバシズマブ製剤が、「外来化学療法加算」の対象となる注射薬のうち、本加算が適応されるバイオ後続品としては▽インフリキシマブ製剤を挙げています。
令和6年度診療報酬改定で入院以外のバイオ後続品が全て対象となりました。新たに対象となった製剤としてアガルシターゼベータ製剤、ラニビズマブ製剤があります。
Q15
バイオ後続品使用体制加算とは?
A15
入院医療においてバイオ後続品の有効性や安全性について十分な説明を行い、バイオ後続品、またはバイオ後続品のあるバイオ医薬品を使用した場合、入院初日に100点算定できる。
施設基準として以下の要件を満たしていること。
(1)病院では、薬剤部門においてバイオ後続品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ薬事委員会等でバイオ後続品の採用を決定する体制が整備されていること。
(2)直近1年間にバイオ後続品のある先発バイオ医薬品
(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品の使用回数が100回を超えること。
(3)当該保険医療機関において調剤したバイオ後続品のある先発バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品について、当該薬剤を合算した規格単位数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合について、以下のいずれも満たすこと。
施設基準として以下の要件を満たしていること。
(1)病院では、薬剤部門においてバイオ後続品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ薬事委員会等でバイオ後続品の採用を決定する体制が整備されていること。
(2)直近1年間にバイオ後続品のある先発バイオ医薬品
(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品の使用回数が100回を超えること。
(3)当該保険医療機関において調剤したバイオ後続品のある先発バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品について、当該薬剤を合算した規格単位数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合について、以下のいずれも満たすこと。
ア 次に掲げる成分について、当該保険医療機関において調剤した先発バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品について、当該成分全体の規格単位数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合が80%以上であること。
ただし、当該成分の規格単位数量が50未満の場合を除く。
① エポエチン
② リツキシマブ
③ トラスツズマブ
④ テリパラチド
イ 次に掲げる成分について、当該保険医療機関において調剤した先発バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品について、当該成分全体の規格単位数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合が50%以上であること。
ただし、当該成分の規格単位数量が50未満の場合を除く。
① ソマトロピン
② インフリキシマブ
③ エタネルセプト
④ アガルシダーゼベータ
⑤ ベバシズマブ
⑥ インスリンリスプロ
⑦ インスリンアスパルト
⑧ アダリムマブ
⑨ ラニビズマブ
(4)バイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいる旨を、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
ただし、当該成分の規格単位数量が50未満の場合を除く。
① エポエチン
② リツキシマブ
③ トラスツズマブ
④ テリパラチド
イ 次に掲げる成分について、当該保険医療機関において調剤した先発バイオ医薬品(バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先発バイオ医薬品は除く。)及びバイオ後続品について、当該成分全体の規格単位数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合が50%以上であること。
ただし、当該成分の規格単位数量が50未満の場合を除く。
① ソマトロピン
② インフリキシマブ
③ エタネルセプト
④ アガルシダーゼベータ
⑤ ベバシズマブ
⑥ インスリンリスプロ
⑦ インスリンアスパルト
⑧ アダリムマブ
⑨ ラニビズマブ
Q16
バイオ後続品は国の定めた目標値はあるのか?
A16
2023年4月28日に「2029年度末までに、バイオシミラーに80%以上置き換わった成分数が、全体の成分数の60%以上とする」と公表されました。
参考資料:改革工程表2022(社会保障分野)の進捗状況について(令和5年4月28日)
参考資料:改革工程表2022(社会保障分野)の進捗状況について(令和5年4月28日)