Q & A集(一般の方向け)
バイオシミラー(バイオ後続品)に対し、一般の方々が抱く様々な疑問とその回答を掲載しております。
Q1 バイオ医薬品ってなに?
Q2 バイオシミラーの安全性と品質について
Q3 バイオシミラーの経済性
Q1 バイオ医薬品ってなに?
Q1-1
「バイオシミラー」ってどういうもの?
A1-1
「バイオシミラー」は、すでに販売されているバイオ医薬品の特許が切れた後に別の製薬会社から発売されるくすりです。ふつうのくすりのジェネリックに相当しますが、効果や安全性がもとのバイオ医薬品と変わらないことを臨床試験で確認しています。
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
Q1-2
バイオシミラーはもとからあるバイオ医薬品と同じものですか?
A1-2
「バイオシミラー」も、もとのバイオ医薬品も生きた細胞を利用して作るため、作るたびにわずかな違いが生じます。そのため、わずかな違いがあったとしても、もとのバイオ医薬品と同じ性質で患者さんの治療に使った場合に同じように働く*ことを臨床試験で確認しています。
*:専門的には「同等・同質」といいます。
*:専門的には「同等・同質」といいます。
Q1-3
「ジェネリック」とは何が違うの?
A1-3
どちらも「すでに販売されているくすりの特許が切れた後で発売され」もとからあるくすりと同じように働く点は共通しています。ただし、ジェネリックが化学反応を利用して作られるのに対して、バイオシミラーはヒトや動物、微生物などの生きた細胞を利用して作られます。そのため、バイオシミラーともとのくすりとの間にわずかな違いが生じる可能性がありますが、同じように働くことが臨床試験で確認されています。
Q1-4
「シミラー」とは、どういう意味ですか?
A1-4
「シミラー」は、「非常に近い特徴や性質を持つこと」を表現するために使われます。そのため「バイオシミラー」は、もとのバイオ医薬品と「類似性が非常に高い」や「ほぼ同じであること」を意味しています。
Q2 バイオシミラーの安全性と品質について
Q2-1
バイオシミラーともとのバイオ医薬品で有効性・安全性に違いはありませんか?
A2-1
化学反応を利用して作られるふつうのくすりと異なり、バイオ医薬品は生きた細胞に作らせるくすりであるため、作るたびにごくわずかな違いが生じます。もとからあるバイオ医薬品でも同じことが言えます。しかしながら、このわずかな品質の違いは、有効性や安全性に影響を及ぼすことがない許容範囲内にあると判断されています。
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
参考資料:バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針 薬生薬審発0204第1号(令和2年2月4日)
Q2-2
バイオシミラーって安全なの?
A2-2
バイオシミラーを開発する際には、化学的な性質や物質の構造、品質、くすりとしての働きなどについてさまざまな試験を行い、もとからあるバイオ医薬品と同じ性質・同じ働きをすることが確認されます。さらに、患者さんの治療に使った場合に効果や安全性に違いがないことを臨床試験で確認します。発売後にも副作用の発生状況や効果について調査を行います。
Q2-3
海外で製造されるバイオシミラーがあると聞いたけれど、品質に心配はありませんか?
A2-3
もとのバイオ医薬品と同様、バイオシミラーについても有効性・安全性を確保することが厚生労働省から求められます。製造の仕方については、海外で製造される場合でも国内と同じように評価・審査されるので日本の基準を満たすことになり、品質の心配はありません。
Q2-4
バイオシミラーの製造・品質管理は十分に行われているの?
A2-4
バイオシミラーに限らず日本で販売されるくすりは、すべて厚生労働省が定めた基準*にしたがって作られるため、製造と品質の管理は厳格に行われています。
*:「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP)
*:「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP)
Q2-5
バイオシミラーは製薬会社によって品質のバラつきがあるのでは?
A2-5
すべてのバイオシミラーは厚生労働省が定めた基準*に従った様々な試験により、もとのバイオ医薬品と同じ性質で同じように働くことを確認されています。製薬会社の違いによる品質や有効性・安全性の差はありません。
*:「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP)
*:「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP)
Q3 バイオシミラーの経済性
Q3-1
なぜもとのバイオ医薬品は価格が高いの?
A3-1
新しいバイオ医薬品を開発・製造する場合には最新のバイオテクノロジーを利用することが多く、またヒトや動物、微生物などの生きた細胞を利用して作るため、化学反応を利用して作るふつうのくすりと比べると開発や製造、品質の管理がとても複雑で費用もかかるためです。
Q3-2
バイオシミラーを使うメリットは?
A3-2
がんや自己免疫疾患をはじめとした疾患ではバイオ医薬品が開発され使用できるようになったことにより、従来の医薬品と比べ治療の効果が飛躍的に改善しました。バイオシミラーはもとのバイオ医薬品よりも低い薬価が設定され、患者さんの経済的負担を軽減できる可能性があります。薬剤費が高くてバイオ医薬品による治療をためらわれていた患者さんにとっては、新たな選択肢になるかもしれません。また、バイオシミラーを使うことによって薬剤費が下がれば、国民全体の医療費の低減にもつながります。日本の医療保険制度は世界に誇れるものですが、医療費が財政を圧迫していることも事実です。素晴らしい日本の医療保険制度をこれからも維持していくための一助としても、バイオシミラーは注目されています。
Q3-3
バイオシミラーはなぜもとのバイオ医薬品によりも価格が低いの?
A3-3
バイオシミラーはもとのバイオ医薬品と比べて、研究開発に必要な時間や費用が少なくてすむため価格は低くなります。ただし、ジェネリックとは異なり、臨床試験を行って効果や安全性に違いがないことを確認する必要があり、製造や品質の管理にも費用がかかるため、ジェネリックと比べれば価格は高くなります。
Q3-4
バイオシミラーを使うことで患者さんにとっての節約効果ってどのくらい?
A3-4
もとのバイオ医薬品の多くは価格が高いため、バイオシミラーに替えた場合の節約効果は大きい場合があります。ただし、医療費のうちで患者さんが負担する額には上限が設けられているため、バイオシミラーに切り替えても負担額が変わらないケースもありますので、不明な点があれば受診先の医師、薬剤師、看護師にご相談ください。
Q3-5
現在使っているバイオ医薬品をバイオシミラーに替えてもらうにはどうしたらいいの?
A3-5
バイオシミラーは全国の病院・診療所で処方され、保険薬局で調剤してもらえます。かかりつけの医師にバイオシミラーを希望していることをお伝えください。
Q4 バイオシミラーをとりまく環境
Q4-1
「バイオ医薬品」ってなに?
A4-1
「バイオ医薬品」とはヒトや動物、微生物などの生きた細胞を利用して作られるくすりのことであり、専門的には「遺伝子組換え技術や細胞培養技術等を応用し、生物が持つタンパク質(ホルモン、酵素、抗体等)を作る力を利用して製造される医薬品」*と定義されています。がんやクローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、低身長症、糖尿病、腎性貧血、骨粗しょう症、加齢黄斑変性などの病気では「バイオ医薬品」が開発され使用できるようになったことで、治療の効果が飛躍的に向上しました。
*:「バイオ医薬品・バイオシミラーを正しく理解していただくために(医療関係者用)」厚生労働省医政局経済課(平成31年2月)
*:「バイオ医薬品・バイオシミラーを正しく理解していただくために(医療関係者用)」厚生労働省医政局経済課(平成31年2月)
Q4-2
現在日本でバイオシミラーはどんな病気に使われているの?
A4-2
現在日本でバイオシミラーは、以下のような病気の治療に使われています。
・がん(乳がん、胃がん、肺がん、大腸がん、血液がんなど)・クローン病・潰瘍性大腸炎・関節リウマチ・乾癬・低身長症・糖尿病・腎性貧血・骨粗しょう症・ファブリー病・好中球減少症・加齢黄斑変性
・がん(乳がん、胃がん、肺がん、大腸がん、血液がんなど)・クローン病・潰瘍性大腸炎・関節リウマチ・乾癬・低身長症・糖尿病・腎性貧血・骨粗しょう症・ファブリー病・好中球減少症・加齢黄斑変性
Q4-3
バイオシミラーを使っているのは日本だけ?
A4-3
バイオシミラーは、2006年*に欧州で初めて承認されました。欧州ではガイドラインの整備が進んでいるため普及も進んでいます。欧州での普及が進んだ後、世界各国でも普及することとなり、現在では日欧米だけでなく世界100か国以上で使用されています。
*:European Medicines Agency ”Biosimilar medicines”
(https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory/overview/biosimilar-medicines-overview)
*:European Medicines Agency ”Biosimilar medicines”
(https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory/overview/biosimilar-medicines-overview)
Q4-4
バイオシミラーに期待されていることは?
A4-4
バイオシミラーはもとのバイオ医薬品と同じように大きな治療効果が期待できます。またもとのバイオ医薬品よりも価格が低いため患者さんの経済的な負担を軽減できる可能性があります。そのため、薬剤費が高くてバイオ医薬品の治療をためらわれた患者さんには新たな選択肢となるかもしれません。
さらに現在の日本では国民医療費の増加が問題となっています。国民医療費の増加にはさまざまな原因がありますが、そのひとつにバイオ医薬品などの高額な薬剤費が挙げられています。バイオシミラーを選択することは、国民医療費削減の一歩につながり、さらには社会福祉の充実などに寄与することも期待されています。
さらに現在の日本では国民医療費の増加が問題となっています。国民医療費の増加にはさまざまな原因がありますが、そのひとつにバイオ医薬品などの高額な薬剤費が挙げられています。バイオシミラーを選択することは、国民医療費削減の一歩につながり、さらには社会福祉の充実などに寄与することも期待されています。